“おさななじみ”に恋をする。上【上下完結】
「あーあ。
よしよし。
大丈夫だよ。
チャンスは、また来るって!!」


超面白いといった顔で、由奈がオレの肩をポンポン叩く。


「ま。
えっちはできなかったとしても。
君はいい仕事をしたよ。
これで征さまは由奈のもの♪
きゃっ」


由奈は両手を口に当てて笑い、それから腹黒さ100%の顔つきで、


「いい?お兄ちゃん。
由奈が征さまを落とすまで。
今日みたいに、ちゃんと遥ちゃんをつかまえててよっ!!
わかった!?」


生意気そうに、オレに向かってひとさし指を突き立てた。


妹にまでバカにされるって・・・。


こういうところが、オレが“へタレ”だって言われる所以なのか?


目の前でバタンと閉まった由奈の部屋のドアの前で、オレは頭を抱えて座り込んだ。

< 827 / 928 >

この作品をシェア

pagetop