月の兎 ~ 十五夜の恋
ただ……
グツグツと煮える
美味しそうな鳥鍋には
さすがに直ぐに箸をつける勇気はなくて
湯気の香りにお腹をきゅうっと締め付けられて
「どうぞ
遠慮なく召し上がれ
なんとこの鳥は
田舎の母が送ってくれた地鶏なんです
あ
ボクがよそった方がいいですね
ボクとしたことが
うかつでした
女の子だもの遠慮しちゃうよね」
千尋さんの言葉に思わず
「かたじけない」
そう呟いていました
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