~天へ送る風~
アレキサンドラは黄金の十字架を背負うような心持ちで様子を見守っていた。
王子はこくり、とのどを鳴らす。
この偽宰相が彼に言いつけた数々の雑言を思い出していたのだろう。
マグヌスが勝てば、納得のいかない圧政から人民を解放できるのだ。
すがるような気持ちだった。
王子は軽佻浮薄で意志薄弱だった。
特別逆らわずにいたのが賢明と言えた。
だが、相手が偽物の宰相だと知れれば、抗いようがあった。
しかも王自身の帰還は誠(ほんとう)に心強かった。
王妃も弁が立ち、人々の気持ちをつかんだ。
いわく、偽宰相に未開の毒液を飲まされ、目の前で意識を失った王を連れ去られようとし、止めようとした王妃が共に連れ去られ、二人とも泉に沈められて封印された。