~天へ送る風~
サフィール王子の名前にちなまれた青石だった。
どこまでも清い清んだ石だ。サファイアとも言う。
「これを王子が? わ、わたくしに? じゃ、じゃあ、もらっておくか。もったいないことではあるし!」
「中身もろくろく確かめもせずラベルまでびりびりにしやがって。王家の紋章が封蝋に使われていたのにも気がつかなかったのか?」
「残念ながら、お目にかかったのは生まれて初めてだ」
「おまえな、もしこれがオレからだったらどうするんだよ」
「どうしてもらいたい。わからないな、ルイ」
それにしても、相変わらずきのこみたいなオレンジ色の屋根。