雨色キッス


雨でジケッとしている外。


俺は憂鬱になりながらも重い足取りでバス停まで向かった。


「…はぁ。」


ため息をつきバスが来るまで待った。



「明日笑えない日が来るとしたら今日はおもいっきし笑おう」


俺はその言葉に驚いて振り返った。


「…歌??」


俺が振り向いた先にはバス停の屋根の下にギター片手に歌を歌ってる女の子がいた。


「明日はきっと笑える」

ずっと歌い続けていた。


俺はそんな女の子の歌声を耳を澄まして聴いていた。


心地好いギターのメロディー。


普段はあまり気にしない音楽に俺は興味を抱いた。


「…綺麗…」


俺がそう呟くと女の子は俺の方を向き微笑んだ。


「…//」


俺は頬を赤く染め、バスが着たので乗り込んだ。


揺れるバスの中では俺はあのメロディーをずっと呟いていた。




「明日笑えない日が来るとしたら今日はおもいっきし笑おう」


バス内で一人呟いた。




《次は西ノ春高校。西ノ春高校です。》


俺はアナウンスに停車ボタンを押し降りる準備をした。



雨の中、わざわざ歌う女の子が頭から離れなかった。
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