CREAMSODA
「裕也でいいよ」

「じゃあ、裕也。バイクが好きなの?」

「ああ! ガキの時ホンダのCB400Fって バイクを見て、一目惚れだよ 結局今はそのバイクの後継バイクのCBXってバイクに乗ってるがな! 紗耶はプロのダンサーかなんかになるのかい?毎週踊っているみたいだから」

「違うよ!まだ先の事なんて何にも考えてないわ。
毎週日曜日にみんなと会って、ポニーテールに赤いルージュ・ロカビリーファッションで踊る。
観客が私達の周りを取り囲んで、拍手をしてくれる。
ただそれが今一番楽しいの。 それだけよ!
裕也さんは、踊らないの?」

「興味ないな!俺来週から、サーキットで走るんだ。もう首都高では走らない!
サーキットはどんなに飛ばしても誰にも迷惑をかけない、
紗耶、言ってたよな、赤い車の人かわいそうだって、確かに俺もそう思うよ!
一般の人達には関係ないよな!

でも誰よりも先を走っていると、今産声をあげたばかりの新しい風を感じる事が出来るんだ!
そんな風に出会っている時が、俺は好きなんだ。

紗耶と同じで、それが今一番楽しい。 ただそれだけだよ!」


しばらくして、紗耶は裕也の肩で眠り込んでしまう。

目が覚めた時には、裕也の姿はなく、紗耶が辺りを見渡すと置き手紙があった。

「紗耶へ
バイクを取りに行ってくる! そこで待っていろ!」

紗耶は裕也のその手紙に、思わず吹き出した!

「手紙までぶっきらぼうなんだ」

1時間程立った時、裕也がコンビニ袋を片手に戻って来た。

「おー、パン買ってきた!食べたら送るよ」

綾美達はどうしているかしらと思いながらも、パンを食べると、裕也に家の近くまで送ってもらう。

「ありがとう!来週又ホコテンに来てね!」

「おー!気が向いたらな」とだけ言い残し、裕也のバイクは走りだす。

この何時間に、今迄に経験した事がない体験が紗耶の今後の運命を決めた!


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