CREAMSODA

レース


− 鈴鹿サーキット −


全日本フレッシュGP選手権

市販車400CCクラス 決勝

《スタートから20周の時点でトップは依然として矢沢裕也!

あと5周、矢沢このまま逃げ切るか。

このクラスの優勝者には、今シーズンの残り2戦と来シーズンの世界GP選手権の出場権が、与えられます。》



紗耶達がスタンド前列で応援している!


「凄いよ、裕也さん!
凄いよ!!」


「伸ちゃん、余り興奮しないで!」


「裕也ー! 気をつけてね!」


紗耶があらんばかりの声を張り上げ声援する。


レースが終わった時には、矢沢裕也がウィリーをして観客に手を振りながらウイニングランをしている。


矢沢裕也の、イギリス行きが決まった


その後、裕也はみんなで食事をとりながら、今後のスケジュールを報告する。


「俺は来週からイギリスへ行く!
9月のイギリスGPに出るために、そして10月にスペインGP
来年は世界各国を転戦するよ! みんなとはしばらく会えなくなるけど、応援してくれ!」


皆 紗耶の方を見る。沈黙の時間が過ぎる。


「裕也! 頑張って
裕也なら必ず勝てるから、世界を楽しんできて。
私 待ってるから
ずっと・・・・」


それからは微妙な空気の中で、時が過ぎていく。



− 裕也の旅立ち 前夜 −

今日で裕也としばらく会えなくなる紗耶は、裕也のアパートでイギリス行きの準備を手伝い、最後の二人だけの時間を、過ごしていた。


「年末は帰ってくるの?」

紗耶がそう聞いた。


「解らない
来年のグランプリ終了後になるかも知れない。
だけど日本GPが来年の6月にあるんだ!
その時には必ず、紗耶に会いに来るよ。
待っていてくれるかい?」

「うん」


紗耶はうなずく。


「再来年は一緒に世界を廻ってほしい。
俺は紗耶が側にいてくれると、安心して走れる。
紗耶にも、生まれたばかりの風を感じてもらいたい!」


紗耶は、とびっきりの笑顔で「裕也!ありがとう」と言い。裕也の胸の中に身を委ねる。


別れの夜が過ぎていく中で紗耶は初めて男性を知った!

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