エージェント

1







「みーつきちゃん!」




それはようやく絶対安静が解かれた後。


体調もほぼ改善し、無理のない範囲での運動が許可された。

元の運動量からはかなり少なくなっていて、ほぼ引きこもり状態。


そんなある日のことだった。




「どうしたの、母さん」


やけに珍しく、笑顔の母さん。


「あのね、コレ!」

「…………」

「お出かけしたくて!」

「……あのね、また怒られるんだけど。わたしが」

「その時はわたしも一緒だから大丈夫よ」

「それに母さんは大丈夫なの?」

「光希ちゃんがいてくれたら、大丈夫!」

「はぁ…」



かなり入念に準備されていたらしい。

そしてそれを楽しみにしているその母さんの笑顔が、眩しい。




「ーーー仕方ないなぁ…」




結局わたしは、怒られるんだろう。





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