加納欄の唇 シリーズ27
あたしはというと、断れるはずもなく、毎年付き添いで呑んでいた。


誰の付き添いって?


決まってるじゃないですか。


祥子さんですよ。


祥子さん1人で呑んでると、いろんな虫がたくさん付いてくるから、あたしが害虫よけの役割をしてるんです。


高遠先輩が近くにいてくれれば、何の問題もないのに、公の場で高遠先輩と祥子さんがくっついている所を見たことがなかった。



さっさと、2人の関係を、皆に言っちゃえばいいのに。



そしたら、祥子さんも幸せだし、変な虫も近寄って来ないのに。



って、思っちゃうんだけど……。



でも、あたしと大山先輩の関係も、公開はしてないんだよね。



署内では、薄々感づいてる人もいると思うけど、、別に何を言われるわけでもないから、あたしも何も言わないでいるし。



感づいてる感じなのに、あたしのいる前で、飲み会の誘いをしたり。


それで、大山先輩も、断ればいいのに、誘われたら、行っちゃうし……。



大山先輩はあたしのこと、見てないフリをして、監視してるタイプだけど、高遠先輩は、どうなんだろ。



ヤキモチ焼いたりとかするのかな……。



お互い、放任主義だからって、聞くけど……。




あたしが、報告をしてる時に、大山先輩も、皆の所へ戻って来た。


「大山、今年も出ないのか?」


「呑んだ気がしないじゃないっすか」


吉井さんに聞かれて、大山先輩が答えた。



「今年は、本庁からも何人か、来るらしいぞ」


話しに、高遠先輩も入ってくる。


「余計行く気になんねぇよ」


「園田も来るって言ってたなぁ」


「はぁん?」


大山先輩が、なんでアイツが?


という、表情をして見せた。


「まぁ、しばらくウチで、研修した仲間だからな。課長が、声をかけたんだろ?来ないのわかってて」


「来ないのわかってて、なんで声かけんだよ。なんで来んだよ」



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