私と先生の365




家に帰り、お父さんは海外出張用の、大きな鞄を持ち車に積む。


そんな姿を見ると、もうすぐ行くって分かるじゃん。


お姉ちゃんが大学行ってから、2人で過ごしてきた。だから余計寂しくって‥。


ひとりはヤダよ‥。本当は、お父さんといたい。




父:「そうだ、奈緒。明日の事だが、これ高木君ん所の地図だ。それから―‥、奈緒!?何泣いてるんだ。はっはっは!」


ポンポンと大きなお父さんの手が頭を優しく叩く。
地面にポタポタと落ちていく私の涙を見て、優しい声で、


父:「1年なんてあっという間さ…。…やっぱり奈緒は、まだまだ子供だ。奈緒をひとり暮らしさせなくて良かったよ‥。高木君にもよろしくな。」


行ってきますと最後に言って、車を走らせた。


涙で、声が出なかったけれど、走り去って行くお父さんの車の背中に向かって、いってらっしゃいって。





< 19 / 464 >

この作品をシェア

pagetop