君の影をみてる〜幼なじみの恋〜

つのる思い

春休みには、
入学を待たずに桜が満開を迎えた。

ぽかぽか陽気に誘われ、
ふたりが花見スポットに足をのばしたワケは、

家で会うと、また、ムラムラ〜っとなってしまうからだと、恭一は言う。

(恭一の言うことが本心ならば、そろそろ覚悟をしないと…なのかな?)


あの日のことなど、知るはずのない隆志は、
恭一の“狼になっちゃう”説を、

「あれが、『こいつは俺のものだゾ』バリアなんだ」と、

私に話していた。


そう、私達は、今までとは違う、
はじめての、
それぞれ別の道を、歩こうとしているのだ。


それは、去年の夏、

鈴ちゃんと先輩の別れ話を聞いた時から、頭の隅にあったことだった。

中学と高校では、全く違うんだということ。


それに、お互い共学校ではなくても、
それぞれの校風に染まり、
今まで通りにはいかなくなるってことは、薄々感じている。

これを、試練と思っている私も、
16歳という多感な年頃を迎えていた。


そして、それぞれが、入学式を迎えた矢先…

事件はおきた。


どこの高校でも、手始めに
中学時の卒業アルバムが出回り

それが、広範囲に流出でもすれば、
身元など、あっという間に割れるもの。


“遊び”なら、テキトーにあしらえば良いのだが…
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