はつ恋
無理やり腕を組んでぴったりカラダを寄せてくる少女を引き剥がしながら歩き進むと、視線の先にルーレットに興じているフレッドが見えた。
「やぁ、フレッド。カズを知らないか?」
僕は助けを求めるように言った。
「さあな、俺はあんたと一緒かと思ったぜ、マサヤ」
僕の声に、フレッドは背中で答えた。
「僕らこれから食事に行くんだけど、一緒にどうだい?」
(頼む、うんと言ってくれ)
「冗談も休み休み言えよ、俺はそんな趣味は無いぜ。悪いが一人で味わってくれよ」
フレッドは僕を一瞥してそう言うと、ルーレットに向き直った。
(やっぱりそう思うよな・・・)