はつ恋
「好きなところに掛けろよ」
いつの間にかジョージが後ろに立っていた。車をガレージに入れてきたらしい。
「あ、ああ、それじゃあ」
僕は沈みそうなソファに腰をうずめた。
ジュディが僕の隣に腰を下ろした。
「これからカズの仕事を手伝うんですってね。彼、頼もしいって言ってたわ」
「はぁ、それはどうも、光栄です・・・広くて素晴らし家ですねぇ」
(何をあがっているんだ僕は)
「ありがとう、兄が、・・・ジョージの父親が建てたんですのよ。彼はセブ島で最も成功した中国人の一人ですの。一族の誇りですわ」
「なるほど」
僕はそう答えて、ぐるりと天井の高い部屋を眺め回した。螺旋階段に白いグランドピアノ、外の世界との恐ろしいほどの、貧富の差を見せつけられた感じだった。
(日本と違い、ここでは、こういう商売でもこんないい暮らしができるんだ・・・そりゃそうだ、人件費がはんぱなく違う)