紡ぐ

4回目にお店に飲みに行った時、僕が見つけちゃったんだよね。


陽子はうつむきながら言葉を探していたね。

やっと絞り出すように自分の言葉で話してくれたね。


「自分でも駄目な事だと思ってる。

なんで、こんな事しちゃうんだろうと思ってるよ。


でも頭の中が真っ白になって、気付いたら…。

気付いたら、気付いたらリストカットしちゃってるんだよ。」


そう涙を堪えて言ってくれたね。


腕にはカサブタになった傷が6本。


陽子はここに居るよ!

と言っているみたいに残ってたね。


その時、僕も痛かったよ。


目に見えない傷が僕にもついたんだよ。


「本当の笑顔が見たい!」

と思って、いろんな話を伝えてきたのに…。

全然駄目だったんだ。

距離なんか縮まってなかったんだ…。


と思ったら、僕の心も泣いてたんだよ。


そんな中でも他のお客さんから指名されれば笑顔で接客につく陽子を…。


見ている事が辛かった。


その時、僕は凄くヒーローに憧れたよ。

僕がヒーローならば、カッコ良ければ陽子を救えたのかなぁ?


と思ったりもしたんだよ。


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