君色ジンジャーティー

...私とあの子の関係。


そんな、中学二年生の秋。
季節違うけど恵理にも春がきたんだねえ、と一人ごちる。

私は大きな通学鞄を左肩にかけ、下り坂を歩いていた。
部活も終わり、ただ帰宅するだけ。
あまりにも暇なので、鼻歌でも歌おうか。
私は考えるだけ考えて、ただ歩くだけにした。


頭の中で、昨日配られたばかりの譜面のメロディを口ずさむ。
ジャズっぽいリズムで、ドラムが大活躍だ。
吹奏楽部なんか一年の四分の三がポップスなのだ。
だからJ-POP等は自然と詳しくなる。

秋。九月とは言え、まだまだ暑さがなくなる気配は無い。
地球温暖化はやばいなあなんて考えて、立ち止まる。

通学路に偶然ある、堺商店。
日陰に入り、少しだけ休憩することにした。
アイスが入れてあるケースが目に入る。
取っ手を掴みスライドさせて、中に手を突っ込んだ。

ああ、ちべたい。すてき。
ほんの少しの冷たさを味わった後、暑い道路へと戻る。

しばらく歩き、二つの幼い声が聞こえてきた。

「あー、せつー!」
「せつきねーさん、おかえり!」

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