Time is gone
「ずっとそんなふうに、思っていたの? 最初からお金だけが、目的だったの?」
 私はすがるような思いで、男を見つめた。
「そうだよ。そうじゃなかったら、誰が風俗嬢何かと付き合うかよ? そんな汚い女と」
 急速に、希望が影をひそめていく。
「好きって言ってくれたのは、嘘? 愛しているって言ってくれたのは? 綺麗って言ったのも、全部嘘だったの!」
「気付けよ、バーカ」
 希望、そんなものは、はたから存在していなかった。
 私はバカな女。恋人を追って上京し、捨てられ、借金をし、キャバ嬢になり、風俗嬢になり、ヒモに騙される、バカな女。そして目の前にいるのは、最低の男。
「……出ていけ。今すぐ荷物をまとめて出ていけ! 早くしろ、このクズ!」
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