ロシアンルーレットⅡ【コミカルアクション】
 目出し帽の男は尚も要求を続ける。


「弟の皆人に連れてこさせろ。お前は来るな。」


 そこで映像はプツリと消えた。


「兄貴は何をしたんですか? こいつ誰?」


 映像が終了し、真っ黒になった画面を呆然と見詰めたままの谷口さんに問う。


 魂を抜かれたような、抜け殻のような、谷口さんが俺の言葉に辛うじて反応し、ゆっくり、力なく振り返って、俺を見た。


 あの、向かう所敵なしの暴れん坊が、今、泣きそうな顔をしている。


「ヤツは尾藤グループの兵隊だ。」


 消えそうな声で答えると、谷口さんは何か考え込むようにうつむいた。


 『尾藤グループ』って… 表向きは一般企業を装っているが、裏で相当あくどい商売を営んでいるという、あの巨大極悪組織?


 そして、谷口さんは意を決したように顔を再び上げると、しぶしぶ口を開いた。


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