DESTINY〜君と出会えたキセキ〜
でも……


ほんの少しだけ、彼のことが気になった。


ホームへ上がる階段の手前、ちょうど女子トイレの辺りで後ろを振り返った。



―――…!!



裕司くんも、こちらを見ていた。 


その場に立ち止まり、彼の方へ向き直すと、軽く右手を振った。


裕司くんも、手を振っていた。


――初めて会った、新幹線の別れのときのように。


でも……


あの時とは違い、彼の唇は固く閉ざされたままだった――。




< 181 / 462 >

この作品をシェア

pagetop