空に叫ぶ愛
──ガラガラッ…


教室の扉が開く音。反射的に扉の方を見ると吉村がいて。


目が合った。



「早いの珍しいやん?」


「まあ」


「どうかしたと?」


「別に」



「………」

「………」



……会話終了。


蝉の鳴き声だけが耳に入る。


気まずい空気を誤魔化すように窓から見える空に目を移した。



「あのさ」



その吉村の声に振り向く。


切れ長の目が私を見ている。



「最近よく考えるんやけど。あの頃なんであんなことやったとかいな、とか…」



あの頃って若菜をいじめていた時?
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