空に叫ぶ愛
「愛の名字ってさ……」
「島田だけど」
「……もしかしてそこの家?」
空が指差した方を見ると確かにおばあちゃんの家があって。
家の前にはおばあちゃんが立っていた。
「おばあちゃん…」
キキィ…と自転車が家の前で止まった。
おばあちゃんの顔を見ると、相変わらずの笑顔で「心配しとったが…」って。
「ごめんなさい」
「いいよ。空と一緒やったんなら心配なんかせんでいいけんね」
「まあね。島ばぁの孫が愛なんやろ?」
島ばぁ?
もしかして、おばあちゃんのこと?
そんな私に気づいた空は「島ばぁにはいっぱい世話になっとるけん」と教えてくれた。
へぇ、そうなんだ…
「空は孫みたいなもんやけん。…あ、空もお昼食べていかんね?」
「いいと?なら、お言葉に甘えて…」
二人を見ていると本当の“おばあちゃんと孫”って感じがする。
少なくとも私とおばあちゃんよりは。
なんと言うか…
見えない絆があるような。