空に叫ぶ愛

ギシッ…と軋む階段を下りるとおばあちゃんは当たり前のように起きていた。


そして、テーブルには美味しそうな湯気を出しているご飯があった。



「愛、おはよう」


「おはよう…」



ニッコリ微笑むおばあちゃんに、私は情けない笑顔しか向けられない。


私って、可愛くない孫なんだろうな…――



「行ってらっしゃい。気をつけて行きんしゃいよ?」


「うん。行って来ます」



後ろを振り向き、そうおばあちゃんに言って私は歩き出した。


いい天気。

空や棚田、畑などの景色を見ながら歩く。


ドがつくほどの田舎。


昨日、ケータイを開いてびっくりした。電波の調子が悪く圏外になっていたから。


まあ、特に使うことはないんだけど…

そう考えると私ってなんて寂しい人間なんだろう、と悲しくなる。


……なんて、友達なんかいらないけど。


裏切るためにある友情なら必要ない。

信じあえない友情なら必要ない。


そんなことを考えていると、これから私が通うことになる赤羽高等学校が見えて来た。


余韻に浸ることなく古く錆びた門を抜ける。

校庭でサッカーをする男子。

それを横目で見ながら私は迷わず職員室に向かった。


この前、来た時「初日は職員室に来い」と担任から言われたから。
< 22 / 374 >

この作品をシェア

pagetop