空に叫ぶ愛
side*空



愛?


どうも様子がおかしいと思っていたら、愛が病室から出て行ってしまった。



「愛……」



そう寂しそうに愛の名を呼んだのは、愛に良く似た愛のお母さんだった。


シーンと静まり返った病室。



「情けないな……。半年会ってないだけで、もうどうやって愛と接してやればいいのかわからないなんて……」



優しそうな愛のお父さんの笑顔が、苦く少し崩れる。


俺の胸にもチクッとした痛みを感じた。



「今日はあの子の誕生日なのに……」


「覚えとったんですか?」


「忘れるわけないじゃない」



そう言ったのは愛のお母さんやった。
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