空に叫ぶ愛

反射的に振り向くと先生は口を開く。


「その……なんでさっき、原田ちゃんに好きな人…聞いたの?」


小声であからさまに若菜に聞こえないように話す先生を見て何だかからかいたくなった。



「先生、若菜のこと好きでしょ?」



おちょくるように呟く。


先生はお手上げという感じに笑うと「正解」とまた笑った。


隠せてると思ってたのだろうか……

バレバレじゃない?



「原田のこと」


「?」


「守ってやって?」



急に先生が見せた真剣な顔。


先生が守ってやんなよ、と言いかけたけれどやめた。


先生は生徒の人気者。


そんな人気者の先生が若菜をかばえば、若菜はもっといじめられることは目に見えてる。



「……私の目が届く範囲なら」



そう言うと先生に背を向けた。そして若菜の横に並ぶ。


弱い私に何ができるかわからない。


けれど、若菜の辛さを理解してあげることはこんな私でもできる。


“もう人は信じない”


けれど、同じ痛みを知っている若菜なら……きっと、信じられる。
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