六年一組、本紛失事件
11 クラスの反応
 翌日。

 朝とあって生徒たちはみな眠そうである。朝のあいさつも終わり、教壇の前には小森と美紀子がいた。横には高基教諭が生徒たちを観察するように見ていた。

「先生から聞いたんですけど、誰か、渋革さんの本を持って行った人はいませんか?」

 美紀子がみんなに問うが、誰も私が盗みましたと名乗りでる者がいるはずがなかった。

「今、出せば、追求はしません」

 小森も言うが、もちろん名乗り出る者などいない。

 当然である。

 そんな簡単なことではない。

「ちょっと、あれ? 渋革さんどういうことだ?」

 本の持ち主である理々は何も聞かされていなかったが、動揺することなく、ひとみにきつい眼光でにらんだ。
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