六年一組、本紛失事件
「そうですけど……」

「そう……」

 玲は埒が明かないので、強引にドアを閉めようとした。

「待った!」

 ドアの奥から高蔵の声がしたので、玲は確認のためにドアの外に顔を出して見た。

 手を振っている高蔵と馬屋と子吉沢がいた。

「元気!」

 玲は三人に向かって言った。

 高蔵は即座に返答した。

「理々の本を取ってないよね」

 高蔵は少しにやけながら聞いた。横にいる笈滝は憮然と突っ立っていた。
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