六年一組、本紛失事件
23 高蔵の好意
 五号棟に四人はきた。エレベーターに乗りこみ、最上階の十階のボタンを押した。

 エレベーター内は四人だけである。同じことを繰り返していると、飽きてくるものだ。

「つまんねーな!」

 と、高蔵は言い出し、表情は険しい。いつ怒るかわからない状態だ。

「そうですね。リーダー。でも、これから何か起こるかもしれませんよ。犯人はこれからですよ」

 馬屋は高蔵のモチベーション上げるために必死だ。子吉沢は馬屋の言動を聞いて、怒りたくなったが、もめるのを嫌って沈黙した。笈滝は塾のことが気がかりであるが、高蔵になかなか切り出せなくて黙っていた。

 エレベーターを出ると、すぐに『塙』と、書いてある表札が見えた。


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