六年一組、本紛失事件
「どこがですか?」

「お前が学級委員をやれ」

「えっ? 嫌です」

「そうだろう。お前もやりたくないのに、でしゃばるな! よし! 小森と林! 前に出てあいさつしろ!」

 小森はきょとんとしているし、美紀子はハンカチで涙を拭いていた。

 小森はすぐに教壇の前にきたが、美紀子は小幅でゆっくりと歩いている。教壇の前であいさつをするのが嫌なようだ。

 慶子もひとみも言うことがないようだ。教室内は静だった。

「ほら、早くしろよ!」

 なかなか喋れない二人に高基教諭はあおった。
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