六年一組、本紛失事件
5 藤美教諭と田脳の関係
 一学期が始まったばかりなので、給食もなく生徒たちは午前中で授業は終わり、早々と家路に向かうのであった。

 高基教諭も六年一組の教室がある三階から職員室がある一階に向かった。
今日は午前授業なのに長かった気がした。

 理由はひとみの問題が頭を悩ませていた。

ひとみに変わった様子はなく、普段通りだった。とは言っても、担任を受け持ってから数日なので、大丈夫だった太鼓判を押せるほどでもない。

田脳のラブレター事件は生徒たちには全員に知られているので、親の耳に入るのも時間の問題だろう。

どうする?

とにかく田脳を嫌っているのは事実だ。まわりの女子生徒たちも、いつ田脳から求愛されるかわからない恐怖に怯えているはずだ。早急に問題を解決しないと、勉強に集中できない生徒がでてくるはずだ。
< 78 / 302 >

この作品をシェア

pagetop