アオゾラ<上>




不意にか細いけど透き通るような声がした。




隣にいたのは同じ学年でたまに校内で見かける子。



名前を覚えるのは得意だけどこの子と喋った事ないから名前なんて知らない。





その女は無表情で俺をジッと見つめてきた。



驚く程綺麗な瞳だった。





一瞬、ほんの一瞬その瞳に吸い込まれるように見入ってしまっていた。





その女が俺の顔の前でゆっくり手を上下させた。


ハッと我に返った。




いっけねぇ・・・。





「あ・・ぅん。すっごい好きだよ。」




本日1回目の偽スマイル。


俺の得意技、作り笑顔。




自分で言うのもなんだけどすっごい演技上手ぇなって感じる。




ってか当たり前だよな自分以外の奴、演技だって知らねぇもん。






女はジッと見てから俺から視線逸らして言った。





「そ。っか・・」






・・たったそれだけ?


しかもそれだけ聞いてスタスタと行ってしまった。



ぇ?

笑顔で返答とか無いわけ?




普通喜んだりするのになぁ・・・




ホントに何なんだ?




アイツ意味わかんねぇよ。







< 2 / 10 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop