涙の枯れる頃


雪は、私の疑問に構わず、扉を開けた
その瞬間、男達の視線が私達に集まった

…気まずっ!!!
「ゆ、雪。もう大丈夫。私…歩けるから」
「…そう?強がんなよ?
美姫はいらない所も強がるから」
「大丈夫だよっ!!!
……私、そんなに素直じゃ無い?」
「うんっ!!100%?あっ。間違った。99%だっ!!!」
……細かっ!!!
雪は笑いながら、私をゆっくり降ろした。

私が雪から、ゆっくりとみんなの方に、視線を向けると、みんなは私を見て目を見開いてる

「美姫って言うんだ。優しくしてやれよ?んまあ、極度の強がりだけど、甘えん坊になると、ヤバい可愛いからっ♪」
……いえ。全く。
雪が私の紹介を終えたと同時に、奥の部屋から、黒髪に緑の目をしてる、美形の男が出てきた

「…へぇ。…予想より上だな…」
意味ありげな事を、言い切ると、私に近づいてきた

「どう?俺のお気に入り♪」
雪は私の肩に手を乗せてから、頭に顔を乗せてきた

「ああ。…今まで見た事ないくらい。
…んじゃ、治療するぞ」

…貴方が治療をするの?!

男に誘導され、私達は奥の部屋に入った
雪は歩きながら、私の事をペチャクチャ喋った
「美姫、超可愛いんだよ!!!
動物に例えると、ん――…。猫だなっ!!猫っ!!!」

……猫?!!
私、雪に一体どう映ってるの?

男は少し笑って、奥の部屋の扉を開けた

……。
………。
「…どしたの?入らないの?」
後ろから、雪の能天気な声がする

それも、今の私の耳には入らなかった




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