涙の枯れる頃



みんなは固まってる。

ただ、
一人を除いては―――…
「…おい。頭のケガ人は黙ってろ。一々うるせぇ。お前は、猿か?…チンパンジーか?」

…イラっ。

まあ、頭から血を出して大怪我をしてるのに、こんなに元気がある私を…自分でさえも、感激するけど。
……チンパンジー?猿?

「んだと?! 怪我人に向かってその言葉は何だよっ!!! まあ?超元気だけど? 自分でも驚きだけど? でも、その態度はねぇだろっ!!!」
「ああ゛?」
私は勝手に男に怒鳴った
男は半分チレてる様で……。

…毒舌な奴。
怪我人に、優しい言葉もかけられないのかよっ!!!

…まあ、元気だけど。

―――――ギュッ

「…わっ」
甘い香りに包まれ、視界が反転した
いきなりの事で、驚きが隠せ無い私。

「日向ぁ!! 許してやって!!!
本当は、素直で可愛くて、良い子なんだからっ♪ ただ、素直になれないだけなんだよぉ!!! だからっ!! ね?!」

雪の言葉に、男は舌打ちをして、真ん中にある、一際大きなソファーに腰かけた。
それを見て安心したのか、雪と健は大きな溜め息をついた
私を治療してくれる?男は、口を押さえてクスクス笑ってる

「……雪、離れろ」
健が、物凄くドス黒い空気を作り、雪を睨んできた。

……でも。
雪は離れようとしない。…と言うか、余計力が強くなってる

……息苦しい。




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