涙の枯れる頃


近づくと、思ってた通りの人だった。

綺麗な顔をしてて、優しそうな人。


私はゆっくり拓真の頬に手を当てた

「…おはよ。私は美姫だよ。初めまして。
みんなね、ちゃん付けしたりするから…拓真はしないでね?」
私の涙が拓真の頬に垂れた。

「拓真の目が覚めたら、外で遊んだり、ピクニックしたり♪……今年は修学旅行もあるんだよ?拓真と一緒に行きたいよ。早く元気になって、一緒に喋ろうよ。…ね?
今日は、拓真が好きなコスモスの花持ってきたよ。日向達が買ってくれたんだよ!!良かったね!」

私はコスモスの花を一本取り、拓真の手に持たせた

「……早く、良くなってね」
私は拓真の手を握った

「……美姫」
直人が微笑んで、私の頭を撫でた


「いいなぁ~拓真はっ!!
美姫に手を握って貰えてぇ~!!!」
雪が頬を膨らませて、拓真を見た
「お前は欲張りすぎなんだよっ!!」

「…プっ!!アハハハハっ!!」
私達は笑い合った

「ねぇ!!私、拓真と散歩したいっ♪」
「え?」


―――――――――――


「気をつけて下さいね。何かあれば、すぐに私達の所に来てください」
「はい」
看護師さん達が拓真を車イスに乗せてくれた

「散歩をするなら、中庭がおススメですよ。
花も沢山、咲いてますし」
「ありがとうございますっ!!」
私が看護師に微笑むと、看護師は拓真に近づいた

「いい、彼女さんですねっ!!」



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