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別れ<真奈美>


「バイト行って来るね」

「行ってらっしゃい」

好きな人に見送られて仕事に行くのってすごくいい

うきうきルンルンの気分でバイトについた

あっ

急にテンションが低くなる

ちゃんと柴崎さんに「ごめんなさい」って言わなきゃ…

ほっぺたを叩いて気合を入れる

「おはようございます!」

「おはよう伊藤さん 今日も元気だね」

真っ先に声をかけてくれたのはやっぱり柴崎さんだった

「柴崎さんお話があるんですけどちょっといいですか?」

こういうことは早いほうがいい

二人で屋上にのぼった

「何?」

少し困惑の表情をしながらもその瞳はまっすぐに私を見ていた

「柴崎さんごめんなさい」

その一言で察知したのか柴崎さんが

「あーーーーー」

って叫んだ

思わずびっくりする

「あーーーーあ、すっきりした やっぱ駄目だったか」

そういって柴崎さんが頭をかきながら笑った

この人は最後まで気を使ってくれる

本当にいい人だ

「私今日でバイト辞めます」

「えっ何で?俺のせい?」

大きく首を横に振って

「違います!」
ってはっきり言った

だって本当に違うもん

辞めるのは私のわがまま

「京都に帰ろうと思って…」


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