不器用な君等の唄へ



暖かい、春の陽気。

空は青く澄んでいて、デート日和ってところ。


「…どうかした?」

…知ってる。

デートだなんて、浮かれ喜んでいるのは自分だけだと。

「いや、あった?目当てのCDは。」

学校の帰り道、轟が欲しいCDを買いに駅のショップに入った。

「うー…。どうしよう、決まらない。」

「決まらないって、いくつあんだよ。」

「二枚。でもね、一枚しかお金の余裕がない。」

蝦蟇口(ガマグチ)の財布をパカパカと開け閉めする。



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