知らなかった僕の顔
街の人込みの中を歩いてくる森若ちゃんを僕はすぐに見つけられた。


遠くから見る彼女の銀色の髪に、オレンジの夕日があたって綺麗だった。


僕に気づいた森若ちゃんは、生真面目に閉じた口許を恥ずかしそうに笑顔に変えた。


ゆっくりと徐々にスピードをあげ、あの独特のリズムをつけて僕に向かってくる森若ちゃん。

僕も彼女の方へ歩き出す。


近づいてゆく僕らの距離を夕日が優しく見ていてくれた。



< 60 / 203 >

この作品をシェア

pagetop