奈良の都の妖しい話

辛抱の日々

早くも季節は変わり、寒くなってきた。

「はあ…桃の宴のころへ戻りたいわぁ…。」

「そうねぇ。暑すぎるのも嫌だったけどこれから寒すぎる季節になると思うと……妃様もそう思いませんか?」

「……。」

「妃様…?」

「あ……ええ…そうね…。」

「如何致しました?」

「…何でもないわ…。」

そう呟くと、美羽子は食事を止めた。

「下げて良いわよ。」

「えっ…まだ三口ほどしか召し上がってないのでは…?」

「ごめん…食欲ないの…。」

「あの…昨日もろくに召し上がってないようでしたよね…。」

「そうなんですか?」

「……。」

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