奈良の都の妖しい話
「・・・ふう。うまく受け止められたわね。」

「姫・・・いい加減にしてください。いくら私が姫の乳兄弟とはいえ、もう十七の男なんですよ。分かってるんですか!?」

「え・・・ふふ。そんなこと言って。黒矢は優しいから、私を襲うことはしないでしょ。」

「・・・」

「返す言葉もないようね。いい加減、私に言いくるめられるのは終りにしたら?」

そういうと、姫は彼の腕の中から抜け出し、屋敷の方にかけて行った。

< 2 / 291 >

この作品をシェア

pagetop