奈良の都の妖しい話
「えーっと・・・それじゃ、姫様には飯炊きをお願いしようかな。ほら、そこに用意してあるから竃に入れて火を起こしてくれる?」

「・・・ごめん、私、火の起こし方知らないの・・・。」

「あー・・・そう。仕方ないなあ。・・・まずは・・・。」

こんな具合に時間は少々かかったが、なんとか食事の用意ができた。

「・・・け、結構疲れるのね・・・。」

「うん。慣れてないうちはね。」

「いつも紫遙殿がこういうのしているの?」

「いや、白兄と交替で。」

「そっか・・・。」

「・・・」

紫遙は何気なく隣に座っている姫の横顔を見た。

(・・・!!うそ・・・。)

「あ・・・」

「紫遙殿、どうかし・・・」

「玉環・・・。」

「・・・?」
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