奈良の都の妖しい話
精一杯に笑顔を見せてそう言った紫恋を、美羽子は複雑な思いで見ていた。

(…この子は…歳の割には随分利発だわ……でも、辛い思いはさせたくない…どうしたら…。)

「美羽子。」

「あなた…。」

「…急で悪いが…今から、唐に行くぞ。」

「えっ!?」

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