奈良の都の妖しい話

後宮に咲く紫の花

一月後…

後宮のある廊下の欄干に頬杖をつき、空を見上げている一人の女官がいた。

「……。」

物憂げな顔は桃の花宛らで、笑うとどんな人でも振り向くであろう美人だった。
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