奈良の都の妖しい話
「そんなところで何してるの、黒兄、白兄。」

「あ、紫遥。」

「あれ、ここってお姫様の寝所じゃん。まさか二人とも・・・。」

「紫遥までそんなこと言うのか・・・。」

「俺はさっきここに来たが黒矢はどうだが・・・。」

「えー・・・黒兄・・・。」

「ご・か・い・だ!」

二刻ほど後・・・

「黒矢。」

「何ですか、姫。」

「・・・昨日、紫遥殿が私を見て“玉環”って言ったんだけど・・・。」

「・・・まだあの事を・・・。」

「あのこと?」

「・・・姫には関係ありません。」

「・・・そう・・・。」

(おや、姫が珍しく言うことを聞いた。・・・しかし何か引っかかる・・・。)
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