奈良の都の妖しい話
「・・・あ、あれ?・・・痛くない・・・。」

「ったく、何しているんだよ。黒矢、お姫様。」

「白華!・・・悪い。」

「逢引するならもう少し日が落ちてからにしたらどうだ?」

「なっ!!そんなんじゃないっ!!」

「照れなくてもいいじゃないか。それとも本当に何でもなかったのか?」

「あ、当たり前だろっ!」

「ふ~ん・・・。なあ、お姫様。よかったら今夜俺と過ごさないか?」

「え・・・ええええ!!」

「・・・駄目?」

「何言ってるんだ白華!」

「だってお前たち恋人でも何でもないんだろ?」

「そ、そうだけど・・・。」

「じゃ、良いだろ?」

「ちょっと!勝手に決めないでもらえる、白華殿!私はこれでも皇女なのよ!そう簡単に黒矢以外の男(ひと)と寝るわけないじゃない!」

「・・・ってことはお前たち一緒に・・・。」

「あ・・・ま、待て!白華!」

「うそ・・・行っちゃった・・・まさか紫遥殿に言うんじゃ・・・って黒矢!?・・・早・・・。」
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