奈良の都の妖しい話
「…そんなに泣かなくても…。」

「貴方がこんな人だなんて思わなかったわ…!」

「…無体をしたことは謝る。…しかしこうするしかなかった…。」

「何がこうするしかなかったよ!…私、もうここから帰る…。」

「…それだけはさせない!」

「離して!………もう、夜明けだわ…誰かが来たらどうするの!」

「…今日は一度退こう。しかし、俺は諦めないからな!」

「……。」
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