奈良の都の妖しい話

憂う夜

(…とうとう、この日が来た…黒矢…私、東宮妃になるのよ。貴方と最後に会った日からもう三月…貴方はこのことを知ってるの…?)

「姫様、よろしゅうございますか?」

「…ええ…。」

(黒矢、そちらは皆元気?白華殿、藍鈴殿………………紫遙殿は……健在?でも…私か、彼のどちらかはもう長くはないかもしれない。だって私…………………………………………………………………………………………………………………………………………彼の子を身籠っているかも知れないから…。)
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