奈良の都の妖しい話
「三日前、太郎君をご出産なされてから徐々に弱られておしまいになったそうに…姫様、何処へ?姫様!」

(嘘!嘘!あのお優しい姉様がもういらっしゃらないなんて…夢よ…これは夢よー!)

「姫!」

「黒矢…。」

「先程…和音から聞き…」

「わあああっー!」

「姫…!」




(あの日、黒矢は私が泣き止むまでずっと抱き締めてくれた。あの日だけが唯一黒矢のまえで泣いた日…。)
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