メモリーズ~I



「お母さん。お母さん。
お母さん。お母さん。  お母さんッーーーー!


イヤだ。イヤだよ お母さんッー。

お願い 目を開けて  あけてよ・・・・・・



開けてってばッーーーーー!



「いやーーーーーーーーーーーーーッ。」





「華野ちゃん?」


「華野ちゃんッーーーー。」



近所の人たちが あたしの声に
気付いて きてくれた。




「華野ちゃん。お母さんは助かるから
大丈夫よ。 心配しないで。

きっと 大丈夫だから」


頭の中が真っ白な パニックになってる
あたしを 胸の中で 強く抱きしめる
近所の人。


「大丈夫だから」

っと 声をかけてくれる、



けど   それさえも忘れてしまう。



どうしよう・・・・・涙が・・・・。


涙が   出ない。






ザアアアアアアアアあッー。



かすかに 開いてる玄関から

聞こえてくる・・・・・・・・・雨の音。



あたしは・・・・・・・空みたいに
空みたいに


「空、みたいな・・・・・・あたし。」


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