夢を正夢にする夢

(Ⅳ)だって、知らなかったんです。



知らなかった。

そりゃぁ…楠木って、カッコイイさ。

えぇ…そりゃぁカッコイイですよ。



だけど…

知らなかった。


庭に干していた洗濯ものが、一つずつ一つずつ…

楠木本人が気がつくのに随分時間がかかったぐらい…

本当に

ゆっくりとしたペースで無くなっていく…

洗濯をしたての服…

確かに干していたのに、庭から、一つずつ一つずつ無くなっていた…

これが、一番最初の自覚症状だったらしい。




次に、良く分からない手紙。

『何年何組の○○と言います。何時にどこどこに来てもらえませんか?』

と、パソコンの文字で書かれ、投げ込まれた文章。

だけど、・・・実際、そこに行ったら誰も居ない。

さらに、・・・実際に書かれた組に、そんな名前の人間は居ない。

これは、未だに続いているらしい。

一時は、メールアドレスにも来ていたらしいんだけど…

『○○君にメールアドレスを教えてもらいました。付き合ってください。何時に○○でお話しできれば嬉しいです』

みたいな…

それからは、アドレスを変えて、メルアドも電話番号も人に教えなくなったらしい。



それも、まぁ大した事じゃないと、楠木は思っていたらしいんだけど…

でも、大事になりかけた事件があったらしい…

練習帰りに暗い道を歩いていた時の事…

いきなり、火を・・・・・・


< 62 / 93 >

この作品をシェア

pagetop