夢を正夢にする夢

(②)だって、嬉しかったんです。



相変わらず、見晴らしの良い高台。

さぁ~~っと吹き抜ける風がとても、とても気持ちよくて…

キラキラと光っているネオンに、吸い込まれて行きそうになるんだ。

ここは、私の、お気に入りの場所。

ん?

あれ???

近くに、こんなに綺麗な所…あったっけ?

なんで私…

ここに居るんだろう…


ざぁっと風が吹きぬけた。

ふと、後ろに気配を感じ、私は後ろを振り返った。



「岬……」

「・・・・・・あれ?」


そこには、風に髪をなびかせた、楠木が立っていた。

楠木は、ちょっとハニカミながら私の横にやってきた。


「悪かったな…俺のせいで…・・・いや、あいつのセイ…かな?」

そう言って、楠木は歯を出さずにキレイに笑った。

「ねぇ。何で警察に行かなかったの?」

「・・・うーん・・・」

「発砲事件って事は、犯人はまだ拳銃みたいなのを持っているって事でしょ?」

「あーー…アレは、多分、アイツの嘘だよ」

「????」

「だから、嘘なんだよ」

「えっ?? う、嘘!?!?」


うぅん。

さっぱり意味が解からないわ!!

本当に…

何で、わざわざ嘘を…?

思わず、挙動不審になってしまったじゃないの!!


「でも、それ以外は本当」


頭をぽりぽり掻きながら、申し訳なさそうに楠木は言った。

うん。

その微笑んだ笑顔が可愛くて、私ったら、にんまりとしちゃいます。

何でも許しちゃうんだからっwww

でも、解からないわ。

私達が、警察に雪崩れ込んでいたら、どうしていたのかしら…ね。

本当に…




火野上の、馬鹿!

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