夢を正夢にする夢

(④)だって、顔が熱いんです。



幸せって…

こういう事を、言うのでしょうか…

上の空っていうか…

あぁ…今日も空は、青いのね…


「…、み、岬っちゃん…」


心配そうな響加の姿が視界に入る。


「今日も、空は青いわ…」

「…そ、そうね…でも、そこ、黒板しかないわ…」

「そうね…黒板も青いわよね…」

くすくすくす。


突然、額をその冷たい手で、響加が触ってきた。

やぁねぇ…熱なんか無いわよ。

熱なんか。

だけど、響加は神妙な顔で、自分の額と私の額を比べ、首を捻っている。



「熱いわ岬っちゃん!! 大丈夫!?!? どうも朝から調子が変だと思っていたら、風邪引いていたの???」


やぁね…響加ったら、熱があるんじゃなくて…

楠木の事を考えすぎて顔が熱いだけよ。


くすくすくす。


「・・・重症だわコレハ…。保健室行ってみようよ岬っちゃん。私、岬っちゃんの頭が心配だもの…」

「ふふ…」

響加ったら、…いつになく綺麗な声なんだからっ(はーと)

「んもう。勘違いされちゃうわよ。囮として、楠木君の彼女を演じる事になったんでしょ?」

声のトーンを落として、響加は私の耳でそっと囁いた。

ヤダーーーーもうっ

ますますボーとしてきちゃうじゃないのさ!!

どうしようっ

話してしまいたい。



『いいか…本当の彼女になった事は、まだ…俺たちの秘密な』

そうして微笑む楠木。

『軽い仕返しさ。音田に話してもいいけど…あいつ、火野上 崇には内緒…な。縛ったり閉じ込めたり、いい加減、俺もちょっとだけ、頭に来てるんだよ』

そうして、にやりと笑う楠木。



どうしよっかなーーー。

話しちゃおっかなーーー。

あぁ…あの時の、あの光景が、頭に蘇っちゃう。

いいよいいよ。いくらでも蘇って下さいなww

でも…

何だか…

ちょっと、頭が…

オカシイや…






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