夢を正夢にする夢


ひんやりとした手が、額を触る。

ん?

この…

ちょっと骨張った感触って………

「っにっうなき!?」

ガバリと起きると、白いカーテンで仕切られた、まるで病室状態のベットの回りに、三人の姿が見えた。

響加と、あいつと、そして楠木が……

皆、驚いた表情で私を見ている。

急に起きた私は、あまりの体の怠さに、また、ベットに沈没した。

「…起き上がりこぼしね…岬っちゃん。ほら、体温計……」

体温計を渡された私は、布団の中でモゾモゾと脇に挟んだ。

「……あい? 皆?? 楠木まで? あれ?もうお昼ご飯」

「彼氏連れて来ただけじゃなぁい岬っちゃんたらっ」

あらっ

あらららら…

ダメだこりゃ。

顔が熱い……顔が……

熱? 熱なの?

「…ずいぶん高そうだな……顔が真っ赤だ」

と、火野上……

「ずいぶん高かったぜ」

と楠木w

あぁ…

じゃあ…

さっきの手は、やっぱり楠木だったのねん。

あぁ…

「愛の力ってやつだね」

「「「???」」」

ぴっぴっぴっ

体温計が鳴る。



………

あれ?

え〜と………

「皆…………逃げた方がいいわ。……」

「岬っちゃん??」

「38、8度………」

何か……

本当に熱があるだ、私……

あぁ…何か……

もう、ダメ…………

…………

「寝る」

「支離滅裂な感じだわ。非常に危険だわ。岬っちゃんが弁当目の前にして寝るだなんて…」

今ばっかしは、響加の声も、まるで心地よい子守唄に聞こえる。

何か3人で話してるようだけど、何か、頭に入ってこない感じ。

私は、ウツロに3人をただ見つめていた。
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